ホテル・旅館に特化し、設備投資や改装工事、社員研修、販売促進などのコンサルティングを行うリョケン(静岡県熱海市、佐野洋一社長)は12、13の両日、「商品づくり研究会」を熊本県人吉温泉の旅館「清流山水花 あゆの里」で開いた。研究会は、旅館が取り組んだ商品力向上の事例を紹介する小規模セミナーで、九州エリアでは初開催となった。併せて、13、14の両日には「サービス技能向上講座」も催した。
12日は、リョケンの塩越一秀専務らが登壇。「魅力的な宿をつくる満足度アップ作戦」をテーマにした講演と併せ、千葉県館山市の「こがね」が2014年に開業した「たてやま温泉 千里の風」など3軒の事例を紹介。
13日は、清流山水花あゆの里の有村充広社長=写真=らによる講演会を開催した。
同館は1945年創業。前身の「鮎里旅館」「グランドホテル鮎里」を経て2005年、清流山水花あゆの里と館名を新たにし全館改装オープン。個人・グループ客に支持される商品づくりを目指した。12年には、和モダンをコンセプトにハイグレード客室や売店・ロビーを全面リニューアル。昨年は、貸切露天風呂の客室化を行うなど、継続的にブランド向上に取り組んでいる。
4月に発生した熊本地震の風評被害により1週間で約1万人のキャンセルが発生したことも明らかに。しかし、「大地震により、人吉球磨の観光に携わる人とチームワークが生まれた」と有村社長。その後、ソーシャルメディア(SNS)などを通じて、地域情報の発信やPR活動を展開したという。
当日は、震災前から進めている温泉掘削の概要説明に加え、着地型旅行商品の開発を進めていることも発表。11月には検証バスツアーを旅館組合で開催する。「これからは旅館のみの力では観光客を呼べない。地域全体の魅力を高める必要がある」などと述べた。
サービス技能向上講座は、「料理提供の基礎と食事会場別のサービスのコツ」などが主な講座内容。大西ますみ部長が講師を務めた。